「八重歯がかわいい」は、日本だけ?
女の子にとっての「チャーミングポイント」といわれることもある「八重歯」。しかし、八重歯は歯並びの乱れの一つで、歯や口の中の健康にとって、あまり好ましいものではありません。
なぜ、八重歯になるのか、八重歯の矯正にはどのような方法があるのかを紹介します。
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欧米では、八重歯は「見た目が悪い」
八重歯になりやすいのは犬歯(糸切り歯)ですが、口元からのぞく犬歯を「かわいい」というのは、どうやら日本だけのよう。欧米では「吸血鬼の歯のようだ」と見られ、決してよい印象を与えないようです。特に、歯科矯正で歯並びを整えるのが一般的なアメリカでは、「身だしなみに無関心な、だらしない人」という印象を与え、人間関係やビジネスにも悪影響を及ぼすというから、大変です。
放置すれば、口内炎や虫歯などの原因に
八重歯のデメリットは、見た目だけではありません。実際に口の中に悪影響を及ぼすことがあります。
八重歯は多くの場合、先のとがった犬歯が外側に向いていますから、頬や唇の内側を傷つけてしまうことがあります。常に歯があたっているようだと、傷口からばい菌などが入り、口内炎になりやすくなってしまいます。
また、歯並びをが乱れているため、歯磨きがしにくく、汚れがたまって虫歯になりやすくなります。もちろん、歯の汚れは歯周病の原因にもなります。
八重歯があるせいで唇が閉じにくくなっている場合は、口の中が渇きやすくなり、さらに虫歯や歯周病のリスクが高まります。
他の歯への負担が歯並びの悪化を招くことも
歯は互いに支えあって強度を保っています。しかし、八重歯は外に飛び出しているので、支えあうことができません。特に犬歯には他の歯の負担を軽減するという役割があるので、犬歯が八重歯になると、他の歯の負担が大きくなってしまいます。
このため、八重歯を放置していると、他の歯がもろくなったり知覚過敏になったりします。また、歯が負担に耐えられないと、負担を避けるために歯の向きが変わり始め、八重歯の周辺の歯から連鎖的に歯並びが乱れていくことがあります。
八重歯になるのはどうして?
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どうして、八重歯になってしまうのでしょう。それには、大きく遺伝的な要因と生え変わり時期のトラブルがかかわっているといわれています。
あごや歯の大きさに関係が
あごの骨や歯の大きさは親から子へと遺伝します。もし、あごの骨が小さかったり、歯が大きかったりすると、すべての永久歯が生えるスペースが十分に確保できず、一部の歯が外向きに生えてしまい八重歯になってしまいます。
犬歯は永久歯に生え代わる時期が他の歯に比べて遅いので、犬歯が八重歯になりやすいのですが、他の歯が外側に生えてしまうことがありますし、逆に内側に向かって生えてしまうこともあります。
生え変わり時期のトラブルで
虫歯などの原因で乳歯が早めに抜けてしまうと、周囲の歯は空いたスペースを埋めようと移動します。すると、そこに生えるべき永久歯のスペースがなくなってしまい、外側や内側に生えてしまいます。
また、永久歯は乳歯の根元を目指して生え、乳歯の根や神経を溶かすのですが、虫歯治療で神経を取り除いていると、乳歯の根本が溶かされず、うまく永久歯に生え変わらないことがあります。こうしたことが原因で歯並びが乱れ、八重歯になることもあります。
八重歯の矯正方法とは
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できれば、早いうちに治してしまいたい八重歯。治す方法は基本的に歯並びの矯正です。八重歯の矯正にはどのような方法があるのでしょうか。
歯を抜いて歯を移動させる
八重歯になる原因の多くは、あごの骨が小さく、すべての永久歯が入るスペースがないことにあります。ですから、余った歯を抜いて歯並びを整えるというのが1つの方法です。
歯を抜くといっても、八重歯になった歯を抜くわけではありません。特に犬歯は根が太く長くて、丈夫な歯なので、できるだけ残すのが基本です。
多くの場合、抜歯するのは犬歯の隣の奥の歯です。そして、歯に矯正器具を取り付け、歯を抜いたスペースを利用して歯並びを整えます。
費用は自費診療なので、50万円から100万円ほどかかりますし、期間も1年半から3年ほどかかります。もちろん、歯並びは人によって違うので、歯の状態によって費用も期間も異なりますし、治療方針によっても変わります。
歯を小さくして歯並びを治す
八重歯がそれほど前に飛び出していない場合、抜歯せずに矯正できることがあります。ただし、歯を移動させるには、歯が正しい位置に収まるスペースが必要です。そのスペースを作るために、歯の幅を削って少し減らします。
歯を削るのは、歯の表面のエナメル質の部分で0.1~0.2ミリ程度です。削ったことで、歯が弱くなったり虫歯になりやすくなったりということはありません。何本かの歯を削ってスペースを作ります。
後はワイヤーなどの矯正器具を使って歯並びを整えるのは、抜歯する場合と同じです。費用や期間は、抜歯する場合ほどかからないのが一般的ですが、これも症状や治療方針によって異なりますので、一概にはいえません。
あごを大きくする
まだ、それほど普及している治療法ではないですが、あごの骨を広げて矯正するという方法もあります。「顎顔面(がく顔面)矯正」と呼ばれる方法ですが、口の中に器具を取り付け、あごの骨を少しずつ広げていきます。八重歯になる原因は、あごの骨のスペースに歯が収まりきらないことですから、あごを広げれば歯がすべて本来の位置に収まるというわけです。
ただし、この治療法を行っている歯科医院はまだ、それほど多くなく、治療できるのも、あごの骨が固まっていない6歳から12歳くらいまでです。12歳を超えると、骨を広げるのが難しくなります。
期間は数カ月から1年ほど。費用は40万~50万円くらい。骨を広げるだけで歯並びが整うこともありますが、その後、器具を使った矯正が必要な場合はさらに40万円以上必要になります。
自分に合った治療法について歯科医院に相談を
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子供の頃や10代の頃は「チャームポイント」などいわれる八重歯も、大人になるにつれ、虫歯や歯周病になるリスクが高まり、最悪の場合は歯並び全体のの乱れにもつながります。
八重歯の矯正は、保険が利かないため、どうしても高額になりますが、子供の歯の将来のため、一度、信頼できる歯科医院に治療が必要かどうか、相談してみてはいかがでしょうか。
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