虫歯予防  虫歯の原因から予防の考え方を歯科医が解説

虫歯予防 虫歯の原因から予防の考え方を歯科医が解説

虫歯の原因をわかりやすく解説しながら、正しい虫歯予防の考え方を説明します。 2021年08月19日作成

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虫歯の原因をわかりやすく解説しながら、正しい虫歯予防の考え方を説明します。 2021年08月19日作成

話し手:歯学博士・村津大地
医療法人むらつ歯科クリニック理事長。九州大学歯学部大学院卒業、福岡歯科大学医科歯科総合病院口腔外科助教任務。

虫歯予防の基本的な考え方は?

虫歯とは、口の中の菌が出す酸によって歯が溶けている状態のことを指すので幼少期に原因菌を持たないことが最大の予防です。

虫歯は、口の中の菌が原因で起こります。
原因となる菌は複数ありますが、その中でもミュータンス菌(正式名称:ストレプトコッカス ミュータンス)が代表的です。

ミュータンス菌は、歯の表面についた歯垢(プラーク)に棲みつき、糖を栄養にして酸を出す特性があります。ミュータンス菌などがだした酸によって歯が溶けてしまうのが虫歯という病気です。

虫歯の原因の1つであるミュータンス菌は、生まれたときから持っているわけではありません。主に感染によって口の中に住み着きます。生後10ヶ月~36ヶ月くらいの間に、保護者(主に母親)から感染することが多いと言われています。

いかに幼少期に虫歯の原因菌に感染しないかということが虫歯予防には大事な考え方です。

子どもに原因菌をうつさないための具体的方法は?

近年では虫歯予防のため「子どもに口移しで食べものをあげない」などの指導が保護者に対して行われています。

口の中の虫歯の原因菌の割合は幼少期にほぼ決まってしまいます。
これは、口の中の菌の”定員”のようなもので、一度”満員”になるとよっぽどのことがない限り変わることはありません。

ですので、幼少期に虫歯の原因菌の主な感染源である「おとなの口内」からの感染を避けることが必要になります。

具体的には以下のような行為に気をつけてください。

・口移しで食べものをあげない

子どもが食べやすいように、おとなが咀嚼をしてあげて食べものを口移しにする行為は避けましょう。これは親だけが気をつければいいというものではなく、おじいちゃん、おばあちゃんも含めて周りにいるおとな全般が対象になります。

自分の子どもの感染を防ぐ場合には周りのおとなも配慮する必要があります。


・お箸など、おとなの口に触れるものはシェアしない

口移しのような直接的な行為だけでなく、お箸など、おとなの口に触れたものからも感染が起こります。

お箸、歯ブラシなど身近なものが感染源になりえるので気をつけましょう。

おとなの虫歯予防は?

とにかく歯を磨くことが大事です。

虫歯の原因菌はマウスウォッシュなどで殺菌をしたとしても完全にいなくなることはありません。

大事なことは、菌に栄養を与えないことです。
虫歯の原因菌の栄養は糖です。食事のあとの食べカスが虫歯の原因菌の栄養ということです。

この食べカスをどれだけ除去することができるかということがもっとも重要なことです。

つまり、歯磨きをする。
歯磨きをどれだけ丁寧にできたかが、虫歯の予防にとって大事です。

歯磨きを丁寧にするとは?

とにかく歯磨きには「時間をかける」ということが重要です。「”ながら”歯磨き」を推奨しています。

歯を磨くということは、部屋の掃除と似ています。

部屋をより綺麗に掃除するにはどうしたらいいでしょうか?
隅々まで散らばったチリはいくら高級な掃除機を使っても時間をかけなければ取り切ることはできません。つまり時間が成果と比例する関係にあるのです。

歯磨きも時間と成果が比例するものと考えています。
歯磨きに時間を使うことが、細かい食べカスまで掃除することに自然と繋がっていきます。

”ながら”歯磨きで時間を有効に

歯磨きに時間を使うと言っても、洗面台の鏡の前で歯を磨くには限界があると感じる方も多いかもしれません。たくさん時間を使ったつもりが、まだ1分しか経っていないということもあるでしょう。

そこで、我々は”ながら”歯磨きを推奨しています。
「お風呂に入り”ながら”」「テレビを見”ながら”」「YouTubeを見”ながら”」「音楽を聞き”ながら”」などです。
何か他のことをしながらならば、時間を苦に感じることなく、歯磨きに時間を使うことができるからです。

早めに虫歯に気がつくには?

定期的にかかりつけ医で診療することが大事です。

歯磨きをしていても、虫歯がゼロになるというわけではありません。定期的に歯医者にて診療してもらうことも虫歯予防には大切です。
口の中は自分で隅々まで見ることは難しい器官です。自分で背中を隅々までチェックできないのと同じです。だからこそ、初期段階で自分で虫歯に気づくことは難しく、歯医者にしっかりとみてもらうことが大事なのです。

できれば、お住まいの近所でかかりつけ医を見つけることをおすすめします。当たり前と言えばそれまでですが、気軽に習慣として歯をみてもらう環境を作ることが一番大事でそれ以上のことはないです。

あえて、自分でできる虫歯発見の方法を付け加えると、鏡でみることと、フロスなどを使って歯と歯の間を感覚的にチェックすることです。おとなの場合は着色が進んでいることが大半であることと、葉が溶けて段差になっている場合があります。
目視とフロスなどの感触でチェックすることはできますが、あくまでも予備的なものと考えていただければと思います。

まとめ:虫歯の原因から予防の考え方

■虫歯とは、口の中のミュータンス菌が出す酸によって歯が溶けている状態のこと
■虫歯の原因菌は感染によって口内に保有する事になる
■感染源の大半は身近なおとなからなので、口移しなどの媒介する行為を避ける
■おとなの予防は歯磨き、定期診療に尽きる

虫歯は、自覚症状が出にくいので、いかに早く発見するかが大事になります。
なるべく早い段階で歯科へ相談し、治療を受けて治していきましょう。

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