1ヶ月で歯並びが良くなる！？セラミック矯正の利点と欠点

歯並びを治す方法といえば歯列矯正ですが、セラミックによって短期間で治療することも可能です。その方法について詳しく解説します。

「セラミックで歯並びを良くする」と聞いても、具体的なイメージがわかないという人がほとんどかと思います。実際、歯並びを治すとなると、数年に及ぶ歯列矯正が必要になりますし、そこでセラミックを使うという場面もパッとは思い浮かびません。そこでまずは、一般的な矯正治療とは別物であるという認識を持ってください。セラミックで歯並びを良くする方法というのは、どちらかというと「補綴治療（ほてつちりょう）」に近いといえるからです。

セラミックを使った歯並びの改善法を「セラミック矯正」と呼ぶことがあります。具体的には、生え方や大きさなどが異常で、歯列に乱れを生じさせている歯に対して、セラミック製のクラウン（かぶせ物）を装着する治療法です。そのため、一般的な歯列矯正のように装置によって歯を動かすことはしません。今ある歯を削ってクラウンを被せやすくし、歯列の乱れを整える治療法ですので、治療期間も短いです。

一般的な歯列矯正は、2～3年の治療期間を要することは珍しくありません。これは、歯槽骨という顎の骨に埋まった歯をひとつひとつ動かしていく処置法であるため、仕方のないことといえます。一方、セラミック矯正では歯を動かす必要がありませんので、おおよそ1ヶ月程度で治療が完了します。治療期間だけに着目すれば、一般的な歯列矯正の数十分の一の時間で歯並びを改善できることになります。

短期間で悪い歯並びを改善できると聞くと、高額な費用がかかるように思えますよね。けれども、セラミック矯正は一般的な歯列矯正よりも安い費用で歯並びを改善することができます。もちろん、セラミックのクラウンを被せる歯の本数にもよりますが、基本的に歯列矯正よりは安く済みます。

歯を動かさず、短期間で安く歯並びを改善できるセラミック矯正は、一見するとメリットしかないように感じますが、そうではありません。まず前提として、セラミック矯正は見た目を良くすることに重点を置いた治療法であるといえます。ですから、表面的な歯列の乱れは治せますが、かみ合わせの問題や顎骨の異常などはそのまま残ることとなります。

それから、クラウンを被せる際に、健康な歯を削る必要があるというデメリットも挙げられます。通常の歯列矯正であれば、健康な歯質を失うことはまずありませんが、セラミック矯正はクラウンを被せる補綴処置と同じであるため、結果的に歯の寿命が縮まることがあります。

セラミック矯正に向いている人は、この治療法の利点を考えるとわかりやすいです。つまり、費用が安く、短い治療期間で悪い歯並びを改善したい人にはうってつけの治療法といえます。ただし、厳密な意味での歯列矯正ではないため、デメリットなども踏まえた上で治療選択することをお勧めします。

このように、セラミック矯正はとても便利な治療法ですが、歯を削るという点でやり直すことができない歯並びの改善法といえます。それだけに、治療を受けるにあたって慎重に考えることをお勧めします。セラミック矯正に興味のある方はまず矯正医にご相談ください。