歯並びが悪いことにお悩みの方は、まずその原因を探ることが大切です。歯並びの悪さを意味する歯列不正には、人それぞれ異なる原因があるのです。
日本人に多く見られる悪い歯並びとは
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矯正歯科の患者さんは、歯並びの悪さが気になって来院される方がほとんどです。例えば、「出っ歯を治したい」とか「デコボコの歯列を整えたい」といった、歯並びに関する具体的な悩みを相談しにいらっしゃいます。これらを専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」や「叢生(そうせい)」と呼び、実際日本人にはとても多い歯列不正といえます。なぜ、日本人に多いかというと、私たちの下顎の骨は小さくなる傾向にあるからです。
悪い歯並びの原因は「歯」そのものにあるとは限らない
下顎の骨が小さくなると、歯を並べるためのスペースが不足します。それでも並べる歯の数や大きさは変わらないため、限られたスペースに無理矢理詰め込むことになりますよね。その結果生じるのが叢生(=乱ぐい歯)です。小さな歯列弓に永久歯が無理矢理生えてくるため、上下左右様々な方向に向いてしまうのです。つまり、悪い歯並びである歯列不正というのは、必ずしも「歯」そのものに原因があるとは限らないのです。
出っ歯の原因は顎の骨にあることが多い
日本人によく見られる悪い歯並びの「出っ歯」は、前歯が前方へ突出した状態を指します。これは前歯そのものが前方へ倒れ込んでいるケースもありますが、多くの場合、上の顎骨が成長しすぎていたり、下の顎骨の成長が遅れていたりします。そのため、専門的には出っ歯を上顎前突と呼んでいるのです。
上の顎骨が成長によって前に突出することで、結果的に出っ歯になっているのです。ちなみに、日本人に出っ歯が多くなる原因としては、こちらも下顎の劣成長が関係していることが珍しくありません。下の顎が成長しないことによって、相対的に上の顎が前へ飛び出したように見えてしまうからです。
骨格が原因の歯列不正は小児矯正がおすすめ
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私たちの体は、成人すると発育と止まります。それは顎の骨も例外ではありません。ですから、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)など、骨格の異常が原因で悪い歯並びになっているケースでは、子どもの頃に矯正を受けることが推奨されます。
顎の骨が発育途上にある小児期であれば、骨格的な異常を矯正治療によって改善することができるからです。これを成人してから治そうとするとなかなか上手くいきません。ちなみに、いわゆる成人矯正というのは骨格ではなく歯に由来する歯列不正を治す治療です。具体的には、斜めに倒れている歯を真っすぐ起こしたり、歯を並べるために不足しているスペースを抜歯によって確保したりすることがメインとなります。
悪い歯並びの原因を探ることが何より大切
このように歯列不正というのは、見た目通りの単純なものではありません。前に出ている歯の原因が上顎骨の過成長にあったり、デコボコに生えている歯の原因が顎の骨の小ささにあったりするからです。そのため、悪い歯並びを治すためには、まず根本的な原因を探ることが何より重要となります。
もちろん、見た目だけ整えるのであれば、倒れている歯を起こしたり、部分矯正で歯列の乱れを治したりするだけで済みますが、それでは歯列が担う大切な機能を維持することが難しくなります。つまり、歯というのはものを噛むためにあるのであって、見た目だけ整えたのでは正常なかみ合わせが失われ、咀嚼機能も損なわれてしまいます。そういったことも踏まえて、まずは悪い歯並びを矯正医に相談してみてはいかがでしょうか。
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