食いしばりとは?
食いしばりとは、起きている時に無意識に歯を接触させ、強い力でかみ合わせている状態のことをいいます。
通常、上の歯と下の歯は接触していないのが普通です。
しかし、なんらかの原因により強い力でかみ合わせてしまうのです。
これは、睡眠時でも行うことがあり、無意識で上下の歯をこすり合わせ、その力が強ければ「ガリガリ」や「ギリギリ」などの音が伴うこともあるでしょう。
これは歯ぎしりと言われています。
食いしばりの原因は、ストレスや遺伝、性格をいった精神的なものから、服薬、喫煙、飲酒、特定の疾患が原因となっている場合があります。
また、スポーツ選手が気合いを入れる際に歯を強く噛みしめるケースもあります。
症状としては、歯がすり減りヒビが入ったり、顎が痛い、また顎関節からカクカクと音がしたり、口全体が開きにくくなったりすることもあります。
顎関節は体と深く繋がっている部分であることから、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。
さらにエラが発達し、顔が変わるようになると、食いしばりが重症化していると言えるでしょう。
ボトックスで治療できる
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ボトックスというと、しわとりなど美容で用いられる印象を持つ人も多いでしょう。
食いしばりの治療でも、ボトックスを使った治療が注目を浴びています。
ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質の一種で、精製して毒性を取り除いたものを治療に使っています。美容の分野でも食いしばりでも使用するボトックスは同じものです。
筋肉の働きを緩める作用があるため、強い力で食いしばる人の治療法としてボトックスが用いられています。
歯医者での治療は、表面麻酔をして咬筋にボトックス注射をします。効果は3日から1週間ほどで洗われ、持続期間は個人差がありますが、通常4~6か月程度とされています。
張っている部分に注射をするため、筋肉注射のような痛みを感じる場合が多く、術後、顎がだるくなったり、硬いものが噛みにくく感じる人もいます。
治療自体は15分から30分ほどで終わります。
ボトックスでの食いしばり治療のデメリット
ボトックスでの治療の良い面だけでなく、悪い面も確認しておきましょう。
注入した部分が皮下出血を起こしたり、腫れたりすることがあります。
物を噛んだ時に、硬いものが噛みにくい、違和感を覚えるといったこともありますが、これらは時間とともに徐々に消えていくでしょう。
注射による痛みに恐怖感を覚える方は、それもデメリットといえるかもしれません。
かつ、作用は永久的ではないため、定期的に通院する必要もあり、時間や経済面の負担も考えられます。
また、妊娠、授乳中の治療は行えませんので注意しましょう。
食いしばり治療は自由診療
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ボトックスでの治療のデメリットとして経済面を挙げましたが、保険診療の対象外で基本的に自由診療となることも注意しておきましょう。
ジェネリック医薬品も出ていることから、歯医者によって費用はまちまちで、1万4,000円~6万円などと幅もあります。
噛む力などによっても費用は変動することがあるでしょう。
また、口顎ジストニアという疾患であれば保険適用になることがありますが、通常の食いしばりでの治療となると、自由診療となります。
ただし、食いしばりでのボトックス治療は医療費控除の対象にはなりますから、生計をともにしている家族の医療費が年間10万円を超える場合には、控除の手続きを行いましょう。
費用はかさむが、有効な手段
食いしばりでのボトックス治療は自由診療のため、費用はかかります。
しかし、食いしばりによりエラや顎周辺に力が入っている、全身にも影響が出ているなどであれば検討するとよいでしょう。
デメリット面も確認し、自分に良い治療を専門医に相談しながら決めましょう。
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