最新の歯科治療は、「削らない」「痛くない」
歯科治療といえば、歯を削ったり神経を抜いたり、抜歯したりと、「痛い」というイメージが強いですよね。しかし、最近は「削らない」「痛くない」を掲げる歯科医院も増えてきました。「削らない」「痛くない」とはどのような治療なのか、最新の虫歯治療について紹介します。
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実を言うと、虫歯の治療は歯科医の経験と勘に頼るところが大きいと言われています。例えば、よく「歯の神経を抜く」といいますが、歯の神経がある根は、歯が生える場所や人によって本数や形状が異なり、歯に穴をあけてみないとどうなっているのかはわからないのです。
しかし、最近は機器の発達によって、経験や勘にあまり頼らなくても診断や治療ができるようになってきました。
CTで虫歯を検査
脳や内臓の検査のためにCTスキャンを受けた経験のある方もいるでしょう。従来のレントゲン画像が平面的なのに対し、CTはコンピューターで3次元の画像を作成することができます。
CTを歯科治療に使うと、歯の形状が立体的にわかるほか、病巣の広がりや神経がどのように通っているかも正確にわかります。このため、治療の際に病巣を狙って、できるだけ穴を大きくせずに治療することが可能になるのです。
歯科用CTはこれまで大学病院など大きな病院にしかありませんでしたが、最近は街の歯科医院でも導入するところが増えてきました。条件がありますが保険適用も可能で、保険診療の場合1回約3500円です。
小さな穴から顕微鏡で
虫歯治療は歯にあけた穴から行うので、肉眼では見ずらい部分がありますし、難しい作業になると、患者さんも長い間口を開け続けていなければなりません。そこで、患部を正確に確認し、治療を効率的に進めるために普及しつつあるのが、マイクロスコープです。
マイクロスコープは手術用の顕微鏡のことです。脳神経外科や眼科などで使われていたものを歯科用に改良したものです。歯科用マイクロスコープは肉眼の20倍まで患部を拡大できるので、歯の内部の深いところまで確認でき、治療が必要な部分を正確に把握することができます。
マイクロスコープを使った治療は高度なテクニックが必要で、時間もかかるため、保険診療で行うと医院が赤字になってしまいます。このため、自費診療としている歯科医院が多いのですが、保険診療でも必要に応じて使っている医院もあります。
見えないところは内視鏡
外科手術で、内視鏡を使った手術が盛んに行われるようになりました。内視鏡手術は手術跡も小さくでき、患者の負担も軽くなります。
同じように内視鏡を使えば、歯科治療でも患者の負担を減らすことができます。主に使われるのは、虫歯ではなく歯周病の治療ですが、直径1ミリの機器を歯と歯茎の間に差し込み、歯科医はモニターを見ながら機器を操作して、肉眼では確認できない歯垢や歯石などを除去します。
導入している歯科医院はごくわずかですが、今後普及していけば、幅広い治療に活用されるのではないでしょうか。
薬剤入りセメントを詰めて殺菌
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虫歯の治療では、虫歯を取り除いた後に、患部を消毒して詰め物をしますが、詰め物に殺菌成分や歯の修復を促す成分の入った歯科用セメントを使う治療法もあります。
よく知られているのが、ドックスベストセメントとMTAセメントです。
ドッグスベストセメントには、銅や亜鉛、リン、鉄などが含まれ、これを患部に埋めることで銅が歯の中を殺菌し、他の成分が歯の修復を促します。このため、歯を大きく削ることなく、神経も残したまま治療ができるというものです。
MTAセメントも同じような効果が期待されますが、強いアルカリ性を持ち、虫歯菌を殺菌します。また、固まると膨らむ性質があるため、細菌が繁殖する隙間が歯の中にできません。
海外では一般的でも保険適用外
ドッグスベストセメントもMTAセメントも、海外では一般的な治療法として使われている国もありますが、日本では保険適用外となり、全額自費となります。
費用は医院によってばらつきがあって、一概には言えないのですがドッグスベストセメントは薬剤だけで3000円から5000円、MTAセメントは1万数千円くらいが相場のようです。
さらに技術料のほか、詰め物や被せ物にも保険は効きませんから、使う素材などによっては1本10万円以上になることがあります。
費用と効果について十分な説明を
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「削らない」「痛くない」治療というのは、必要以上に歯を削らず、できるだけ痛みを抑える治療法です。
確かに患者の負担も軽くなるのですが、歯科医には高い技術が求められ、保険適用外となることも多い治療です。
最新の治療を受ける場合は、歯科医の説明をよく聞き、十分納得したうえで受けましょう。
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